フランスでのトイレ体験

[筆者] Elenaの母(後期高齢者)
40年ほど前、子供達とブルターニュの小さな町とパリでほんの少し暮らした経験あり。

ボケ防止にとフランス語を習い始めたものの、ボケの進行が早くて追いつかない。

今回の旅(‘23.4.25〜’23.6.1)は、娘が最後の海外旅行としてプレゼントしてくれたもの。

ボケ防止になるからと娘に強制されて、この旅行で体験したフランスのトイレ事情についてまとめてみました。

目次

Où faire pipi à Paris?  パリでは、何処でおしっこをするの?

サンミシェル橋よりコンシエルジュリーとセーヌ川を望む

セーヌの川岸の人混みの中で、一人のご婦人に
「Vous connessez où est-ce qu’il y a un petit coin ?]
(トイレが何処にあるかご存じですか?)と声を掛けられた。

petit coin(プティコワン)と言うのはトイレの婉曲的な言い方で、この場合は公衆トイレの事だと思ったが、歩いた範囲に公衆トイレは見当たらなかったので、「知りません」と応じるしかなかった。


実は私もそろそろ…と考えていたところだった。

Caféのトイレを利用するのが手っ取り早い

パリの街なかでは、日本のコンビニのように気軽にトイレを利用できるところはない。

コンビニはないし、スーパーにもトイレがない。
公共の施設である駅のトイレすら有料である!

無料で利用できるのは・・・空港、ホテル、公園のトイレか、デパートのトイレくらいなもの?
美術館、博物館などの施設では無論、無料ではあるが、その前に入館料が要る。

レストラン、カフェでは、そこで飲食した客は無料で利用できる。
だから、気軽にトイレを利用する為にカフェを利用する人が多いし、又、カフェの数も多い。

McDonald’s (フランスでは、MacDoと呼ぶ)では、トイレはロックされていて、レシートに印字されているコードを入力する必要があった。無断利用の防止策なのかな?

日本のように気軽に利用出来るトイレが少ないパリで、外出中に尿意を催したら…

▲パリ14区のカフェ Au Maréchal Brune
▲パリ5区のカフェ Le Metro

先ずは近くのカフェに入りコーヒーを頼み、おもむろにトイレを借りる。これが一般的でスマートな方法。

入ったカフェのグレードによって、「拝借料」は当然変わってくる。 ^_^

今でも、juton (ジュトン)と呼ばれる代用コインをもらってトイレを利用させてもらうお店もあった。

簡単に、「Les toilettes?」   レ   トワレットゥ? と語尾を上げて訊くだけで通じる。

パリのカフェのトイレは地下にある事が多く、清潔感はまずまずといったところ。
でも便座は冷たいので、要注意!!

メトロのトイレ発見!

今回の旅に加わった友人Aがエッフェル塔へ行きたいと言うので、同行した時のことである。

ブルボン宮殿の側からセーヌ川に沿ってオルセー通り歩き始め、アレクサンドル3世橋を渡り、バトームーシュ(遊覧船)が行き交う風情を楽しみながらアンヴァリッド橋を通って戻る。そして、姿は見えていてもまだまだ遠いエッフェル塔を目指す。


ホテルを出てから3時間ほどになる。

そろそろ!という時に、セーヌの川岸にCaféの看板が見えた!バラック小屋のような設えのCafé Pierre Herméにはトイレは無く、直ぐ側のメトロの入り口の側にトイレがあると教えてくれた。

メトロの駅には基本的にトイレが無いと思っていたが…地下鉄アルマ橋駅の入口に、こ洒落た木造の建物があって、それがトイレだった。行列が出来ていたが、待つしかない!

メトロのトイレの使い方

その間にトイレの使用方法を読むと…
メトロのパスかチケットをかざせば、無料で利用できるようになっている。

右上に表示されているランプの意味は…

  • LIBRE…空いている
  • OCCUPÉ…使用中である
  • FERMÉ…閉まっている(=洗浄中)

人が出た後ドアが自動的に閉まり、これ又自動的に水を流して床と便器の洗浄が始まる。
LIBREの表示に変わるまでドアは開かないので、まどろこしい!

因みに用を足した後、中の ouvrir (開ける) のボタンを押さないと、ドアは開かないので、要注意!

初体験でパンチを食らう!

中の人が出てきた時、若い女性が鼻を摘んで列から離れていった。ヒドイ状態???
でも、私達は背に腹は変えられぬので、待つ事に。

何とか用を足したが、やっぱり酷い状態だった。!!!無料とは言え、こんなトイレは二度と御免被りたい!
日本人なら、自分の粗相は後始末をして出て来ると思うが…日本のトイレの快適さを懐かしく思い起こした。

二人で散々悪態をついたが、このトイレの洗礼を受けたお陰?で、この後何度か街なかの公衆トイレの世話になる事が出来た。^_^

※帰国後確認してみると、メトロにトイレのある駅は少ないが、RERのA線、B線には結構あるようで、把握しておけば便利だと思う。

パリの公衆トイレ

街なかで、お目にかかるBox型の公衆トイレは殆どが無料だが、便座がない!そして、汚い!と言われている。

便座がないので、そのまま座ることははばかられる!

使い方を考慮する必要がある!

私たちが利用した公衆トイレはまずまずの状態で、神経質で無ければ、間に合わせに使う分には便利だと思う。

最初に洗礼を受けた私たちにとって、それ以降はショックを受けるような事例もなく、何度かお世話になったものである。

12区 Daumesnil 大通りの公衆トイレ
人が出た直後に入ると水を被る危険が!ランプが緑になる迄待つこと!

ーアクセス無料
ー子供や障害者に同行する人を除き、一度に1人だけがこの衛生設備を使用することが許可されています
ー便槽は自動的に洗浄され、使用後は毎回消毒して乾燥されます。床も同じく使用後は毎回洗浄されます。
※ランプは左から
緑・・・サービス中(空き) 
黄・・・使用中 
青・・・洗浄中 
赤・・・サービス外(故障か何かの理由で使用不可)

※人の出た後、緑のランプが点くまで待ちましょう。
ランプが点いたら、真ん中の大きいボタンを押して入ることが出来ます。用が済めば、手を洗って、
ouvrir(開ける)のボタンを押して出てください。

パリの公衆トイレの数は?

※帰国後に知ったことだが・・・

資料によると、

パリには何と、435のBox型の公衆トイレ

(Sanisetteサニゼット)と、目撃したことがないが、

315の男性用トイレがあるようだ。


え?そんなにあったとは!

Googleマップで公衆トイレと検索しても、極わずかしか

出てこなかったのに・・・

仏文だが、以下のサイトでは、パリだけでなく、フランス中の無料トイレのマップ及び情報を入手できるようだ!

https://toilettespubliques.com/paris 
toiletpublics.com


事前に知っておけば、苦労せずに済んだのに!

フランス政府は観光客の為にこの公衆トイレの数を逐次増やしているらしい。

国鉄モンパルナス駅(パリ)のトイレ

Madame Pipi à la Gare Montparnasse  モンパルナス駅のマダムPipi (pipi は、おしっこの意味)

フランスでは、その昔…

Madame Pipi「マダム ピピ」(=トイレを管理するおばさん)と呼ばれるエプロン掛けの黒人女性がトイレの入口で踏ん張って、小銭を徴収していたものだ。

今回、モンパルナス駅のトイレにも「マダム ピピ」は居た!但し、洒落た洋服にヒールを履き、改札機のような機械の前で利用者が1ユーロのコインを機械に投入するのをチェックしていた。

遠い記憶では、お札を出せばお釣りをくれていたと思い、換金出来るかどうか訊ねてみた。すると、左端の機械はクレジット専用だから、クレジットで払えと言われた。

でも、何回やっても何故か機械が受け付けてくれない!後ろに列が出来ていたので、マダム ピピは、特別に脇から通してくれた。

と言う訳で、この時は無料で利用出来たのである。\(^^)/

SNCF(フランスの国鉄)や長距離バスのトイレを利用する

ローカル線はフランス語のみの表示になっているので、少なくとも次の単語は、知っておく必要がある。

スペル読み方意味
toilettesトワレットゥトイレ
ouvrir    ウーヴリール開ける 
fermer   フェルメー閉める 
男女共用


電車のトイレに限らず、携帯用のティッシュペーパー、除菌シートは必需品!


駅のトイレを利用するには、1ユーロ、50セント、20セントのコインを用意しておくとよい。

因みに、着いたQuimperキャンペール駅のトイレの使用料は50セントだった。

Paris—Quimper 間の格安新幹線OUIGO (ウィゴ)

ブルターニュ地方のトイレ

 Quimperキャンペールでも、Vannesヴァンヌでも、公衆トイレは無料だった。

▲Quimperの公設市場のもの
▲効率的な手洗い
▲最後にこんな素敵な公衆トイレも!フランスで最も美しい村の一つ、Locronant ロクロナンで
ゴーギャンが滞在したPont-Avenポンタヴァンの公衆トイレ(外側は素敵なのに・・・

フランスで目に留まったトイレあれこれ

▲Quimperキャンペールのパン屋さんの2階の
salon de théサロン ド テのトイレ  可愛い!!
▲Concarneau コンカルノー のカフェで
流石、リゾート地のトイレって感じです!
▲フランスの最も美しい村の一つ:Rochefort-en-terreの
クレープ屋さんの歴史あるトイレのドア!
▲Café Jeanine et Lucien. (パリ19区)
前のバーをを動かして水を出す洗面台
 ▲5区のカフェ  Le Metroの洗面台

★この他に足元のボタンを踏むと水が出るタイプも見かけました。

役所広司主演の映画「PERFECT DAYS」

帰国後、俳優の役所広司がフランスのカンヌ映画祭で男優賞を受賞したとのニュースを見た。彼が演じる清掃人がひたすら公衆トイレを掃除するという話らしい。

日本の清潔な公衆トイレは、機械ではなく人の手によるものだ。勿論、利用者の心遣いもある。日本人の綺麗好きという特性が表れている。
映画を観るまでもなく情報社会の現代では、日本のトイレの清潔さは周知の事と思われる。でも和式トイレに対応できるのか?

その昔フランスの空港で、トルコ式トイレと呼ばれている金隠しがない和式トイレ風なトイレに出会って、如何に使えばよいものか躊躇したことがあった。水が勢いよく出てきて足元を濡らすのは、今も変わらない。(笑)

このトルコ式トイレは現存するようなので、日本の和式トイレにも対応できるはずと思ったが、金隠しに戸惑っているようだ。使い方をイラストで解説しておかねば、ひどいことになるかもね!(笑)

2024年のパリオリンピックに向けて、今ある公衆トイレの約半数を新しいタイプに変えると聞いた。又、メトロの改修工事も進んでいる。

何はともあれ、来年は、公衆トイレもメトロも今より快適になっていることだろう!
検証に行ってみたいものだ!(笑)

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